水唱餞歌



進化論

花は虫になれるし、
虫は魚になれるし、
魚は鳥になれるよ。

だけど、
鳥は魚になれないし、
魚は虫になれないし、
虫は花にはなれない。







「…それは、どういうことやのですか?」

「そのままの意味ですよ。
 虫は花を食べますが、花は虫を食べれません。
 魚は虫を食べますが、虫は魚を食べれません。
 鳥は魚を食べますが、魚は鳥を食べれません。
 外では、『食物連鎖』というそうです。」

「しょくもつれんさ?」

「そうですよ、ゐこ。
 強いものが弱いものを捕食する。自然界の摂理というものです。」

「せつり。ですか。」

「はい。それは僕たち人間にもいえますね。」

「ひとは、なんでもたべます。」

「食べますねえ。」

「ひともたべます。」

「食べますねえ。けど、それは人に限りませんよ。
 なんでも食べるのは他にもいますし、共食いなんてそんなに珍しくないんです。
 ただ人と他が違うのは、人は神様だって食べちゃうってことです。」

「かみさま?かみさまは、ひとよりつよいから、たべれないんじゃないですか?」

「ゐこ。僕はね、『できない』に対しては『絶対』は無いと思うんですよ。」

「?」

「何故なら、鳥を食べる魚も、魚を食べる虫も、虫を食べる花も、あるからですよ。本当は。」

「あるの?」

「あるのです。食べられる種類を増やして生き延びていく。そんなものたちも。」

「…たいへん。ですね。」

「ええ、大変な進化ですね。」

「しんか…。」

「動植物はそうやって生きるために進化してきました。」

「いきるために。じゃあ、ひとはかみさまをたべるといきれるの?」

「…それがね、違うんですよ。」

「ちがうんですか。」

「はい。人が神を食べるのは、愚かだからなのです。」

「おろか?」

「人はもう、進化しようがないのです。
 それを知っても、もっともっとと求めるから、いけないことをしてしまうのですよ。」

「…ひとは、いけないこですか?」

「…さあ、ゐこ。お前はどう思います?」

「ととさまも、かかさまも、いいこだとおもうのです。」

「………はは、そう、そうですか…。」

「…。」

「ゐこ。僕たちの愛しい子。お前もとても、いい子ですね。」

「ほっ、ほんとですか?」

「ほんとですよー。僕は、ゐこ以上に可愛くて良い子を知りません。むぎゅー。」

「むぎゅ。えへへ、くすくすする。」

「かかもそう思いますよねえ?」

『………。』

「ほーら、いい子いい子って。」

「……………むゅ。」

「…照れちゃいました?」

「…てれちゃってません。」

「えへへー、そうですかそうですか。
 …おっと、ゐこ、そろそろ時間です。」

「!と、」

「おやすみなさい、愛しい子。

 …さあ、家族団欒を邪魔する悪い子たちはお仕置きですよー。
 覚悟しろよ、化け物め。」
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by kaze-kara | 2009-03-19 20:58 | 透明色の混沌
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  PBW「シルバーレイン」     雀宮棘の日常と思考。
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