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水唱餞歌



電池切れ

たかいおと、なるなる





「あ。」

画面が切り替わる。
えんぷてぃ。

目を閉じれば、じんわり。

もういいかな、と思って、白いガーゼをはがす。
赤色はもうない。


「…。」

そうなると、五日間の鬱憤で無性に動き回りたくなってしまうもので、
下駄をつっかけ、山におりていく。


言葉は上手くない。
感情も上手くない。

ら、ら、ら。

だからうたうのは、繰り返し繰り返す、あのうたを。

獣道を走り抜ければ、広がる墓石。
明るい月に照らされた寺は、夜空より暗く見えた。


「ととさま、かかさま。」

お墓の前は、ガーベラとスターチス。
お店に並んで、綺麗だったオレンジとブルー。

ただいま、今日も元気です。
手を合わせて笑えば。

― おかえりなさい。今日はどんなことがありましたか?

そんな、優しい声が聞こえる気がして。

嬉しい。
あの子が笑ってくれたよ、と。

言って。

「…見て、もらいたかったなあ…」

時々思う。
月明かりの下で。
by kaze-kara | 2009-02-12 22:44 | 黒ニ鳴ル噺
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  PBW「シルバーレイン」     雀宮棘の日常と思考。