(音楽は鼓動で、色々な温度をくれるけれど)
(音は空気のなかの、小さな小さな、原子のひとつひとつだとおもうんだ)
(音はひかるんだよ。すばらしいうつくしさで)
幸せな気持ちを振り掛けてくれる
例えば、この庭に咲き乱れる花々が全て、光を発するものだとしたら、
例えば、この生きている植物が、光で意思の疎通をしてきたとしたら、
俺の発する音に合わせて、光って返してくれるんだろう。
例えば、夜空の星とお話できたとしたら、
例えば、遠くの離れた人の気持ちが伝わってきたら、
音といっしょに、光って教えてくれるんだろう。
なんて、夢見がちな想像を、ほんとうにそうだったら素敵だなと考えて、
…いいや、ほんとうは、俺の目には見えないだけで、そうなのかも知れない。と、考えて。
どんなに陽の届かないばしょも、どんなに暗い夜も、
どんなに血に塗れた人も、どんなに絶望に捕らわれた人も、
世界は、光っているのかもしれない。
音を発するたびに、その空気の振動は、ほんの少し、世界を輝かせているのかもしれない。
だから音は心地よくて、
だから音楽は素晴らしくて、
合わない音は不安になって、
だから必死に旋律を合わせようと、努力して、
時には、合わせることに疲れて光を見ることを忘れてしまうけれど、
少しだけ、顔を上げれば、光あふれる世界があることを、思い出すんだ。
(音は命があるから、伝わるんだよ)
(だからひかるんだよ。だから、しあわせなんだよ)
………せかいはきれいだと、おもっていたいんだよ。
すばらしくうつくしいから、なきたいくらいふあんになるんだ。